【編集長コラム】STAY HOME期間を経て。これからの時代はどんな「売り方」に変わっていくんだろう

By on 2020年5月27日

こんにちは。編集長の川崎です。

ご無沙汰しております。こちらの本体の不具合で、前回から更新が滞っており大変失礼いたしました。編集部は二人とも元気でございます!

今週は全国的に緊急事態宣言が解除され、ようやく日常が戻ってくるかとホッと一安心。地方から徐々に売り場も再開してきて、そこここでスタッフ同士やお客様との会話が、いつも以上に弾んでいるという報告が入ってきています。

そりゃそーですよ!家族以外と他愛もない話をしたかったですよ!売り場はそういう機能もありますからね。

とはいえ、まだ通常運行というわけにはいかず、お客様はまばら…。まずは店頭ディスプレイに力を入れたり、SNSの発信を強化したりと、できることを頑張ってくれていると聞きます。

母の日が思いがけず飛んでしまったので、5月を「母の月」として今月いっぱい店頭でギフト提案をしているところもありました。

そしてアフターコロナを境目にして

これを境に、服もバッグも靴も、今までの「売り方・売れ筋」と同じではない…と思っています。

私自身も、当たり前のように出張して、打ち合わせに出かけて、人前でセミナーして、研修して。。そのモチベーションのために買っていた服や靴も、今春の購入は大激減。

もちろん自分のためでもあるけれど、「外に出る」「人に見せる」ということが大前提でファッションは提案されているから、それがなくなると一気に服飾のニーズって減るんだ…。そんなことを、まざまざと思い知らされた三か月間だったように思います。

GWあたりに、一度だけオンラインで試しに春物を買ってみましたら、届いた服は見事にサイズが小さくて大ショック…。やっぱり試着しないと微妙なサイズ感がわからない。。STAY HOMEで、ECの売上は確かに増えてはきていますが、素材の風合いや自分の体とのバランス感をフィットさせるのはかくも難しいものですね。

新しい“売り方”のチャレンジ

このSTAY HOMEの期間中に、ECだけにとどまらず、色々な“売り方”にトライをしているところが増えました。

たとえば横浜にあるアパレルブランド「rourou」さんでは、服を箱に詰めてお客様のところに送付して、それを試着してもらいながら“zoomで遠隔接客”をするというトライをされていました。この取り組みは目ウロコでした。zoomは会議だけでなく、接客にも活かしているところが増えています。

また、積極的にインスタライブ、IGTV、youtubeでの発信をされているブランド。直接コメントがついて、インタラクティブでフラットなやりとりが生まれているのも当たり前の姿になってきました。

服もバッグも展示会シーズンだったので、展示会そのもののオンライン化も図られました。youtubeでの動画配信zoomによる新商品案内など、いままでになかった新しいチャレンジも聞かれました。

ECエバンジェリストの川添さんのブログに「オンライン接客」について詳しいです。ぜひこちらもご参考に。

たしかに春物がはけないので、セールの案内はどしどし来ましたが、安ければ買うかというとそれももう違う。自分が能動的に選ぶだけでなく、信頼するスタッフの方に「これきっと似合いますよ、着てほしいです」と、“相手からお勧めされたい”という気持ちが大きい、ということにも気づきました。

それはAIのリコメンド機能とかそういうことじゃなくて。「私に勧めてくれる」という相手からの想いなんだろうなと思います。

コロナ中に活躍したもの、買ったもの

前置き長くなりましたが、私が大人しくSTAY HOMEしていたこの3ヶ月間に、活躍したものはなんだろうとつらつら考えてみました。

外に出ないとなると、「パソコン周り」「外とつながるベランダ周り」「家と外との中間エリア」のアイテムがポイントかなと思いました。

家にいるとどうしても、デスク周りに目が行くようになります。何度もお茶やコーヒーを淹れるので、クライアントさんから頂いた端切れの革で、コースターを作ってみました。このエルク革は4mmもあるので、ふんわりと沈んでカップがずれません。

自分で切りました、雑です(笑) よくこぼすので、すぐに水分が吸水できたりすると更に嬉しいかも。

そしてこれは意外なお役立ちでした! クッションテーブル、または膝上テーブル、と呼ぶそう。固い天板とクッションが合体しているような形。中にビーズが入っていて、膝の形にフィットして安定します。

これは私が買ったのではなく母が長年使っていたもの。確か数十年前の、イギリスに旅行の時に買ってたものだった気がする。相当年季が入ってますがまだまだ現役。STAY HOME中は思いのほか便利でした! 

ノートパソコンを膝の上で操作できるので、ソファでテレビ見ながら原稿を書きたい(大変行儀が悪い)ときなどに重宝します。ひっくり返すと、うつ伏せで昼寝も可。もしこれが壊れたら、クッション部分が革素材のものがあったらいいなぁと思ってました。どこかで作らないかなぁ。。

また、今までは忙しいと言い訳をして、まったく手を入れていなかったベランダ。GWの時に思い立って野菜の苗を植えてみたら、これが思いのほか愛しくなり。ベランダに出る機会が増えると、次はちょっと座ってみようかなという気になってます。

で、買ってしまいました、アウトドア仕様の椅子とテーブル。それぞれブランドはばらばらですが、ひじ掛けの木の素材感が気に入ってます。近所のトレジャーファクトリー・スポーツで購入。実は、店には初めて入ったかも。。

興味なかったジャンルの、志向の変化も起こるんだなぁ。てなわけで外ランチなどしてみました。ちなみにランチマットも革ですよ。サンドイッチ作は当然私ではありません(笑)

あと、取材に行った靴店で思わずルームシューズを2種類も買ってしまった。左は一本歯ゲタのようなロールする底材がついてて、ふくらはぎを程よくストレッチするもの。右は素足で履いても、インソールが足裏にべたっとくっつかない接地面の少ないサンダルです。家ナカのライフスタイルが快適にできるものには、ある程度贅沢してしまいました。

未完了を完了させるということ

…と、比較的インテリア周りのアイテムが多かったですね。

普段は外に出かけるのが好きなタチなので、家をどうするとかあまり気に留めなかったのですが、さすがにこの3ヶ月間は色々と断捨離したり模様替えしたりの日々でした。夫婦でzoom会議になると、互いの声が気になるので、物置きになってた部屋をzoom会議できるように片づけてみたりしました。おぉ~見違える!

となると、「STAY HOME」から「ENJOY HOME」へ、という流れも生まれそうですね。今まで手付かずだった箇所を見つめ、ようやく“未完了を完了させる”ことができて、暮らしもスッキリしてきたように思います。

今後の仕事も業界全体は、いろいろなことに変革がもたらされると思いますが、これも“未完了だったことの完了”になるかもしれないなと。痛みを伴いながら、完了させることで新たに入ってくるものも多いはずです。

なんでもかんでも「これはチャンス」と前向きに考える必要はありませんが、「自分にとっての“未完了”ってなんだろう」とこの期間に振り返るのも、悪くないんじゃないかなと感じる3か月でありました。

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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