“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」のアトリエ探訪記 Part5 「野村製作所」

By on 2017年9月13日

こんにちは。編集長の川崎です。

1周年を迎える“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」。アトリエ探訪 その5です。

さて5社目は、台東区の「野村製作所」さん。革小物を作り続けて現在4代目となる老舗中の老舗です。

代表取締役の野村社長にお話を伺いました。

* * * *

◆遊び心を忘れないものづくりの姿勢

“大の釣り好き”という野村社長は、常日頃から遊び心を大切にしています。もちろんモノづくりでもそんな気持ちを忘れません。

「KAWANOWA」でも人気が高い、可愛らしいフォルムのペンケース「意外に実用的なくじら」

最近モノトーンのコ(右)も加わって、バリエーション豊かになりました。

手のひらに乗る、程良い大きさと、色鮮やかなレザー。

ここに至るまでには、四型ほどの試作を経て作られています。実際に使って楽しい“くじら”を世に出したい、という職人さんやメンバーの気持ちが伝わってきます。

現行のくじらにはファスナーの引手に「イカ」がついているのですが、試作品にはなんと「ザリガニ」がついているものまで!遊び心満載です(笑)

子ブタのポーチ、なまずのペンケース、果ては革でできたポストなど、もはや工芸品の域です!職人さんたちの手先の器用さが表現されたアイテムが、続々と登場しました。

可愛らしくて、取材陣はみんな「欲しい!」コールの連続でした。

◆自由闊達でのびのびした社風

野村製作所の社内では20代から70代まで現在8名の職人さんが働いています。事務所と続きの部屋にサンプル作製室があり、依頼されてから社内で形にできる環境が整っています。

片や、親方が手隙の時にワクワクする新しいものを作り出している、なんとも柔軟な環境です。

「社長はほとんど“ダメ”と言わず、“好きにやっていいよ”と言ってくれるので色々チャレンジ出来ます。」とはスタッフのお声。自由闊達で伸び伸びした環境の中だからこそ、ユニークな商品が出来るのだと実感しました。

ここ最近は、オリジナル製品作りが少しづつ増えています。年10か所程、大手百貨店で開催されるイベントに参加し、圧倒的な商品量とカラーバリエーションで、老若男女問わず足を止めて頂いているそうです。

◆「ようやくあなたに会えた」と言ってくださるお客さま

催事イベントに立っている植田清香さんにもお話を伺いました。

「私たちが通常作っているOEM製品は毎年トレンドが変わるので、新しいものがどんどん提案されます。

けれど、お客様の中には“前に使っていたあの財布が欲しい”といった、継続的に同じデザインを使いたいと希望される方が少なくないのです。

そういったニーズはオリジナルであれば可能ですし、お客様からご提案頂いた色にトライすることも出来ます。そんなご要望を形にしていたら、今では20色展開になったシリーズもあるほど(笑)。好きな色を探したいというお客様に人気の商品になっています。」と嬉しそうに話してくださいました。

 

「モノづくりだけをしている時に比べ、イベントに参加して何が変わったかというと、きっと“親切心”なんだと思います

嬉しいのが、売場で初めてお会いするお客様が、“ようやくあなたに会えたわー”と言って下さるケースが増えてきたこと。

相手はブログなどを見て、すでに私を知って下さっています。そんな出逢いもとても嬉しく、販売に行くというよりも商品を持って、使い勝手やうちの職人さんについて説明に伺う感覚です。」と植田さんは笑います。

商品力だけでなく、野村製作所のスタッフが醸し出す温かい雰囲気も、人気の大きな要因なのかもしれません。

◆職人さんの“独り立ち”を奨励

現在は社内に8名の職人さんがいますが、野村社長は一人増えるたびにミシンを買い足してきました。ミシンを共有する会社も多いですが、「みんなそれぞれ使う時の設定があるから」と、一人一台使える環境にしています。

ここ数年で、数人の職人さんが野村製作所の研修を受け、専属の職人さんとして独立していきました。

2年前からは栃木市に営業所兼研修所を設け、職人さんの養成に力を入れています。そんな形で野村社長は積極的に職人さんの“独り立ち”を奨励しています。

メイドインジャパンの製品が人気を博していますが、実際のところ業界では大変な職人不足。そんな中でものづくりが好きな若い人たちが自由に学び、鍛えられて自分の手一本で生きていくことを応援してくれる存在は、この時代とても貴重ではないかと実感します。

「2020年の東京オリンピックに向けて、日本のモノづくりをもっと知ってもらう機会を増やす必要があると思います。

KAWANOWAにくれば“良心的な日本製の革製品”がたくさん見られる、という場になってくれれば嬉しいですね。」と野村社長は最後に顔をほころばせました。

◆有限会社 野村製作所

東京都台東区東上野1-28-10

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About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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