“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」のアトリエ探訪記 Part4 「Parley(パーリィー)」

By on 2017年9月4日

こんにちは。編集長の川崎です。

1周年を迎える“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」。アトリエ探訪 その4です。

さて4社目は、練馬区の「株式会社パーリィー」さん。国内ではほぼこの会社が手がけているといっても過言ではない「エルク革」のバッグや革小物たち。

触れているとほっこり幸せになる、ユニークなシカ革の素材です。

代表取締役の白潟篤さんにお話を伺いました。

* * * *

◆白潟社長とエルク革との、運命的な出会い

「パーリィー」といえば「フィンランドエルクの革」と言えるほど、このブランドの代表的な素材として知れ渡っています。

「エルク」とはヘラジカのこと。厳しい自然環境の中で生息してきた、ワイルドで味わい深い素材です。

(株)パーリィーの白潟社長は、このエルクの素材を日本で最初に扱った方でもあります。

「今年でパーリィーは31年目となりましたが、このブランドを立ち上げる前は、実は10年間革問屋で働いていました。

革の事がわかるようになると無性に何か作りたくなり、『パーリィー』をスタートさせました。ある日タンナーを訪れた時に、このエルクの革がちょうどウエットブルー(鞣されてまだ乾燥していない青みの状態)のまま床に積んであるのが目に入りました。

“これは野生の革なので、傷だらけで使えない”と彼らは言いましたが、私はワイルドで厚みのある革を見て、“これは面白いかも”と直感しました。それがエルク革との運命的な出会いでしたね。」

◆「傷はデザイン。ワン&オンリーの魅力」

早速タンナーさんにこのエルク革を鞣してもらうと、牛と違って1cmもの厚みがあり、重いうえに散弾銃の傷だらけ。けれど白潟さんは逆に「他にない柔らかさ、表情の良さ、そして傷さえも生きてた証として魅力だった」と、出会った当初を振り返ります。

さすがに革は仕立て易いように、1cmを4mm厚に漉いて薄くしました。それでも2枚を縫い合わせると8mmにもなりますが、縫い代には漉きを入れずに厚さを活かしたデザインにしています。

またエルク革は、オイルを入れなくても充分にしなやかで、繊維層も丈夫。革の中に色を染み込ませる“染色仕上げ”なので透明感があり、素材の味わいが生きています。

最近は本物のエルク革はほとんどなく、牛革に粗目のシボをつけたものが多く出回っているとのこと。けれどパーリィーでは、希少な本物のエルク革を使用するために現地のタンナーと年間契約して日本に輸入しています。もちろん食用として狩猟され、副産物としての皮であることは牛と変わりません。

「傷があっても、逆にそれが“デザイン”」ということからも、傷や穴すらワン&オンリーの存在感があります。まさに、ハーレーダビッドソンを駆るバイク好きの白潟さんならでは。愛用しているバイカーファッションにはぴったりのアイテムと言えます。

◆カシミアタッチの軽やかな触感がエルクの魅力

ところが満を持してエルクの商品を開発しても、しばらくは“返品の山”だったとか。

「そりゃそうですよね。ひとつひとつ革の状態も違うし傷もある。バイヤーに理解してもらうために一件づつ話をしながら理解をいただき、3、4年はかかりました。今お付き合いして頂いている店舗には、エルクの良さが伝わっていると実感しています。」と白潟さん。最初から上手くいったわけではないようです。

傷だらけの革なのに、どんなところからファンが広がったのでしょうか。伺うと「とにかくファースト・タッチ」とのお答え。確かに、ふわっとした軽やかな触感とカシミアタッチのクセになる指滑りは、五感に響く心地よさ。

またスマホの画面やメガネのレンズなど、精密機器をピカピカにするのも鹿革の特徴です。最近では、新商品として「スタンドペンケース」やユニセックスなポシェットなど、新しい切り口のラインナップも広がっています。

◆“次世代”へとつながるものづくり

現在では、20代の若手職人さんたちが4名も働いており、ほとんどがここ上石神井のアトリエで製作されています。息子の夏樹さんも建築系のお仕事から一転、パーリィーに入社し営業マンとして活躍しています。

忙しい時は外部にも仕事を出したくなるそうですが、「エルクの革は牛と違って伸びがあったり滑りも違うので、とても縫製が難しい。メーカー仲間に頼んでも断られるんですよ」と白潟さん。なので職人としてはとても腕の良い方々が集まっているのだそうです。

今後の夢は?とお尋ねすると、「パーリィーと言えばエルク革、と言ってもらえるように、更に名前を浸透させたい」とのことでした。

最近では、軽井沢や京都、湯布院などに、パーリィーの世界観に共感する地方専門店との協業によるオンリーショップがオープンしています。唯一無二のブランドバリューに惹かれる方が増えてきているのを実感します。

トレンドに振り回されず、ぶれない軸のあるコンセプトと明確な素材のチカラ。「カシミアタッチ」の魅力に引き寄せられる人たちが、ますます増えることを願います。

株式会社パーリィー

東京都練馬区上石神井1-11-10

*

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)