“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」のアトリエ探訪記 Part3 「Petrarca(ペトラルカ) /キクヒロ」

By on 2017年8月23日

こんにちは。編集長の川崎です。

1周年を迎える“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」。アトリエ探訪 その3です。

さて3社目は、足立区の「株式会社キクヒロ」さん。仕事もプライベートも、きりりとした気持ちにさせてくれるエレガントなバッグたちです。

代表取締役の菊池弘太さんにお話を伺いました。

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異業種から飛び込んだバッグの仕事

『ペトラルカ』とは、実は上品でエレガントなライフスタイルを生きる、架空の女性像。響きのいいネーミングにこだわってつけました。」

オリジナルブランドについてこう語るのは、株式会社キクヒロ 代表取締役社長の菊池弘太さん。足立区一ツ家の工房でお話を伺いました。

先代である菊池さんの父親が1970年に創業し、ご自身は10年前に社長に就任しました。

もともと金融関係という、全くバッグ作りとは縁のない職場で働いていた菊池さんでしたが、入社されてから2年後には、新たな販路開拓に乗り出します。

今までメーカー業しか経験がなかったところへ、菊池さんが今後のビジネスの行方を予測し、ダイレクトにユーザーと結びつくことが重要であることを直感します。ものづくりだけでなく、より消費者に近い場所でビジネスが出来るようにシフトさせていきました。

まずは子会社を立ち上げ、オリジナル商品を製作。そこから個展を開いて百貨店のバイヤーなどに来場してもらい、少しづつ信頼感と関係性を構築していったといいます。

百貨店の平場に並びはじめると、その独特なフォルムや確固たるクオリティに、たちまちファンがつきました。

「問屋さんを介さずに、小売店がお客さんだったので直接反応が聞けたのがとても有り難かったですね。更に『もっといいものを作りたい』という想いがつのっていきました。」

◆“手を抜かないものづくり”とは

そしていよいよ2009年には、冒頭に語って頂いたオリジナルブランドの「ペトラルカ」が誕生します。

仕事もプライベートも、そしてアフター5も自分らしく楽しむ、凛としたスタイルのある「ペトラルカ」な女性に似合うバッグのラインナップが揃います。

「P」の文字が4つ組み合わさった、アクセントにもなるゴージャスなゴールド金具をポイントにあしらいます。

百貨店だけでなく、ショップは青山の「ベルコモンズ」一階にもオープンしました。顧客はいままで様々なブランドを経験してきた大人の女性たち。

彼女たちをも満足させる、インポートブランドと比べても遜色のないクオリティは、キクヒロが地道に積み上げてきた“手を抜かないものづくり”でした。

「私たちのものづくりは、外側の顔だけでなく、見えない部分に特に気を遣っています。例えば、バッグのシルエットを決める芯材の種類や、内ポケットにはちゃんと長財布が入るかどうか…など。販売員さんやお客様から上がってくる要望を丹念に拾い上げ、ひとつひとつを商品開発に丹念に活かしていきました。

また、バッグには不可欠な軽さ、ハンドルの握りなど、女性が気になるポイントは徹底的に考えられています。独りよがりなデザインではなく、実際に使ってみて“長く使えるのか”を追求することは重要なポイントですね。」と菊池さん。

ユニークなのは、キクヒロの商品の随所にみられる、革を部分的に“つまんで”ふんわり感を表現したシルエット。全体的なバランスに変化が出て、女らしさも感じられる絶妙なデザインです。

これは実は、服のパターンを手掛けてきた、アパレル出身のパタンナーさんの力が大きいといいます。洋服の“タック”を取るかのように、革をつまむという処理の仕方はペトラルカのオリジナリティ。それがまた、使う人にとっても身体当たりの優しいパターンとなっています。

◆プロフェッショナルが集う「KAWANOWA」

現在、工房には七名の職人さんたちが働いています。細かなディテールへのこだわりは、ベテランの方々の技術の積み重ねで生まれてきたもの。

そして棚にはさりげなく、2008年の「ジャパンレザーアワード」のトロフィーが置かれていました。「たまたまですよ」と菊池さんは笑いますが、数多くのブランドがエントリーする「レザーアワード」を取れるブランドは全国でもほんの一握り。デザインとクオリティのバランス感がここで裏打ちされています。

菊池さんに、ものづくりの喜びとは?と伺ってみました。

「やはり、思った以上のいい商品が出来たときですね。あとは直販をしているので、お客様からリピートをいただき、また欲しいです!と言われるのは本当に嬉しい。」と顔をほころばせていました。

そして、一周年を迎えたこれからの「KAWANOWA」に対しては、どんな思いでいるのでしょうか。

「ここには、ものづくりに関して真にプロフェッショナルの方々が集まっています。みなさんのものづくりの姿勢を見聞きしながら、外へと発信し、ひとつのいい事例になっていけば良いと思います。これからが楽しみですね。」

と笑顔で話していただきました。

工房で楽しそうに跳ね回る、元気なワンコにもお見送りしていただきました。

KAWANOWA  http://shop.kawanowa.com

shop「KAWANOWA」より「KAWANOWAな人たち」ブログを再構成

撮影:ピー・アイ・スクエア株式会社 前川弘樹

取材担当:川﨑 智枝(B.A.G. Number)

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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