“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」のアトリエ探訪記。Part2 「YAMAMAN(山万)」

By on 2017年8月21日

こんにちは。編集長の川崎です。

今月で一周年を迎えた“日本の職人を応援する”サイト「KAWANOWA」。アトリエ探訪 その2です。

→その1はこちら

1周年を記念して、改めて各アトリエの試みをご紹介させていただいてます。

さて2社目は、江戸川区の「株式会社山万」さん。小さな商品だけに、気づかれにくい仕立て部分などには卓越した技術が隠されています。

社長の山田晴彦さんにお話を伺いました。

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ブルーのアドバン仕上げの財布づくり

「KAWANOWA」サイトで人気の高い、“アドバン仕上げ”と呼ばれているアンティークブルーで仕上げた財布。
こちらは木製家具のような不規則な濃淡が特徴で、独特な風合いにファンも多い素材です。

メンズの革小物を得意とする株式会社山万さんでは、このアドバン仕上げを他ではほぼ見られない「ブルー」で作製しています。引き込まれそうなほどの深い青みが、ほかの財布では見られない個性的な色として、自分買いにもギフトとしてもヒットしています。

アドバン仕上げとは、なめす過程でいったん塗装を行った上に、一段濃い色を重ね、職人さんが上から部分的にバフ掛けをして色を落とします。

そのバフ掛けの程度などは、微妙な強弱のさじ加減で決まると言われているので、まさに職人技の世界。

ところが山田晴彦社長に伺ってみると、この美しい素材は「実はうまく行かなかった革のサンプルが始まり」だったとのこと。

何度も染色を繰り返しつつ、もっと落ち着いた色になるはずだったけれど、明るい色が出来たのでこれで試作してみたところ、あっという間に人気アイテムとなりました。

「何が成功につながるかわかりませんね」と山田社長さんは笑います。

“好奇心”が新たなものづくりにつながる

山田社長は2012年に独立して、株式会社山万を立ち上げました。それまでは実家の財布メーカー「株式会社ヤマダ」に長く在籍され、国産の高品質なアイテムを作ることに専念されていました。二十数年間、中国に渡ってものづくりの指導も経験されたとのことです。

「わたしは子どもの頃から好奇心旺盛な子で、“この中はどうなっているんだろう”とすぐ興味を抱き、いくつも目覚まし時計を壊しては母親に怒られていました(笑)

中国在住の時も、日本人は変わったものは食べず避けて通りますが、私は出されたものはほとんど食べてみました。“見たことない、食べてみたい”といつも思ってしまうんですよね。

おそらく、未知のものに常に興味を抱くことが、新しい商品づくりや製法を編み出すアイデアにも繋がっていると思います。」

そんな山田社長のチャレンジに満ちたものづくりの精神を、現在は二人の息子さんが引き継いでいます。

「わたしたちは“革”という自然素材が相手です。昨日は昨日、今日は今日で天気や湿度が変われば革の質も変わるし、漉く厚みも微妙に変化します。

いつも同じ厚み、同じやり方でやればいい訳ではないんですよね。

ものづくりは常に想像力を働かせながら、“これはどうだろう”“ああするとどうなるだろう”と興味関心を寄せ続けないといけないのです。」と山田社長は話されます。

財布作りへの想い

財布や革小物といった、手のひらに乗る小さなサイズのものでも、実はバッグひとつを作れるほど、手間も時間もかかっています。

細かなパーツを裁断するところから始め、財布自体が厚くならないように革パーツに細かく「漉き」を入れる作業コバの磨きなど、表からあまり見えない部分がとても重要だと言われています。

山万さんでは、今の時代に他では手間がかかりやめてしまったような技術を、いまなお地道に続けられています。

「バブル期の頃などは、とにかく一つでも多く作ることを追求してきて、昔からやり続けてきた大切なことを、置いてきてしまった部分もあるかもしれません。

例えば、自分たちのオリジナル工法で行っている財布の縁の“磨き”は、三人が一時間かけても15本も上がらないほど手間がかかります。

けれど、それをしないとうちの財布ならではの存在感が出ません。“山万の財布は雰囲気がある”と言ってもらえる陰には、日々の小さな積み重ねが生きている、と言えると思います。」

作り手である強みを生かした「KAWANOWA」

実は「KAWANOWA」の構想段階から関わってきた山田社長。バッグの作り手メンバーが集っているからこそできる、新しい「ショッピングモール」を立ち上げてみよう、という想いからスタートしたとのことです。

「このEC全盛時代、バッグや革小物を販売しているサイトは星の数ほどあります。けれど、運営側がみな“作り手”であるということが、他と異なる何よりの強みではないかと考えました。

“メーカー”という切り口をもっと打ち出して、作る際のストーリー、ものづくりへの情熱などを伝えていくことで、KAWANOWAの独自性を打ち出せると思います。

これからは作り手のエピソードや想いを反映させた、お客さんと“気持ちの繋がり”が生まれるようなサイトにしていきたいですね。」

文字通り、革の“輪”が広がり、作り手や使い手、そして未来の職人さんまでをも巻き込んだ新しいムーブメントが生まれるような、そんな場づくりを目指したい、とのこと。

山田社長が「KAWANOWA」に込める想いも、また熱いものでした。

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KAWANOWA  http://shop.kawanowa.com

shop「KAWANOWA」より「KAWANOWAな人たち」ブログを再構成

撮影:ピー・アイ・スクエア株式会社 前川弘樹

取材担当:川﨑 智枝(B.A.G. Number)

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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