一周年を迎える「KAWANOWA」の、アトリエ探訪記。Part1 「KIYOKAWA」

By on 2017年8月16日

こんにちは。編集長の川崎です。

“日本の革工房・職人を応援する”サイト「KAWANOWA」が、今月で一周年を迎えました。東日本ハンドバッグ工業組合の有志が集い、オリジナルブランドを一同に集めて販売と情報発信を行っています。

こちらのオープン時から、アトリエの取材を通じて“ものづくり”を広く一般の方に知ってもらうべく「KAWANOWAな人たち」というブログをお手伝いしてきました。

1周年を記念して、改めてこちらに各アトリエの試みをご紹介させていただければと思います。

1社目は、墨田区吾妻橋の「KIYOKAWA」さんです。

* * * *

フォーマルバッグから、カジュアルなバッグへの転換

都営浅草線の本所吾妻橋から徒歩3分。見上げると東京スカイツリーがそびえ立つ、墨田区吾妻橋でハンドバッグを作り続けて50年あまりという、有限会社清川商店さん

KAWANOWAサイトでは、質感の良いレザーを使ったユニセックスなバッグ「azzuni(アズーニ)」をラインナップしています。

オリジナルブランドの名前は、「吾妻橋2丁目」とイタリア語の「AZZULO(青)」を掛け合わせた造語。バッグのラインナップには必ず、キーカラーである深いブルーを加えているとのことでした。

「先代は、もともとかっちりしたフォーマルバッグを得意としていました。私は平成元年に入社して11年前に社長に就任しました。その頃はちょうどバッグにもカジュアル化の波がやって来て、フォーマルバッグもなかなか難しい時代に。私が社長に就任したタイミングで、思い切ってオリジナルブランドを立ち上げました。」と松村社長さん。

使う人の日常生活に寄り添うバッグを

そのオリジナルブランドもはや8年目に。

試行錯誤の中で、カジュアル感をベースにしたユニセックステイスト、素材の味を活かしたごくシンプルなデザインにこだわっているとのこと。

使いやすいポケットの仕様、明るい色の内装など、さりげなく遊び心を忍ばせたディテールが「azzuni」らしさ。「使う人の日常生活に寄り添うこと」を心掛けています。

「意外に思われるかもしれませんが、いい素材に出会うことが先で、その後にデザインをイメージします。デザインありき、ではありません。

“こんな質感の軽いゴート素材なら大きくてシンプルな形がいいんじゃないか”、など職人と話し合いを重ねてデザインを決めていきます。思い通りのバッグに仕上がった時は“やった!”という感じですね」

オリジナルブランドを手掛けるようになってから、販売イベントなどでダイレクトにお客様から感想を聞けることが何より嬉しいと顔をほころばす松村さん。

またスカイツリーの開業と同時期に、自社ショップ「azzuni」も工房に併設。リピートの方も徐々に増え、手ごたえを感じていると言います。

若手職人を育てることがミッション

国内のバッグ業界は、90年代から00年代で生産背景が中国やアジアなどに移ったことなどから、職人の減少が危ぶまれています。

清川商店でも少し前まで職人不足は深刻でしたが、ここ最近はものづくりに魅力を感じる若い職人たちが、門戸をたたくようになってきたとのことです。

今は5人のかばん職人を抱えており、若手も徐々に育ってきたと顔をほころばす松村社長。

「嬉しいことですね。業界全体では相変わらず職人不足ではありますが、少しづつ職人志望の方々が入って来てくれています。ただみんながすぐに一人前になる訳ではないので、若手が腕を上げるために私たちも色々な仕事を任せてみたり、チャレンジできる土壌をつくるなどの工夫は欠かせないと思っています。一企業だけでなく、もっと業界全体で盛り上げて行きたいです。」

これから「KAWANOWA」のサイトが、商品を売るだけでなく、“作り手と使い手のコミュニケーションの場”に育ってほしいと、松村社長が語っておられたのが印象的でした。

*

shop「KAWANOWA」より「KAWANOWAな人たち」ブログを再構成

撮影:ピー・アイ・スクエア株式会社 前川弘樹

取材担当:川﨑 智枝(B.A.G. Number)

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)