【編集長コラム】2020年 バッグ・革小物業界 “トピックス予測”

By on 2020年1月11日

こんにちは、編集長の川崎です。

2020年がスタートいたしました。遅ればせながらあけましておめでとうございます。

2010年代から2020年代へと移行して、90年代から2000年にシフトした時のようなワクワク感と不安感がないまぜになっている気分です。

仕事柄、変化変化とよく口にしてきましたが、鈴木ディレクターとミーティングする度に、今年は何か「痛みを伴う大きな変革」が起こりそうな予感が…と話しています。どんな視座で迎えるか、自分の覚悟と胆力も試されそうな時代です。

好きな言葉に「漠然した不安ではなく、健全な危機感を持て」というのがあるのですが、今起きていることをネガティブにとらえるばかりでなく、「これは何のチャンスだろう?」と思える前向きさを忘れずにいたいと思います。

さて、業界を眺めて2020年はどんなキーワードが予想されるでしょうか。

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1.サスティナビリティと“次世代レザー”

ファッション業界全般で、「サスティナビリティ」は不可欠なキーワードになってきました。数年前から声高に言われていることではありますが、国連で提唱された「SDGs」(持続可能な開発目標)の具体的な取り組みが求められています。

特にレザー業界では「LWG(レザーワーキンググループ)」「REACH規制(化学物質管理の法規制)」、また国内基準である「日本エコレザー」など、ある一定の水準に基づいた革づくりや卸売りなどが少しづつ認知され広がってきました。

もともと“食肉の副産物”としての皮を使っているので、元来サスティナブルな素材ではありながらも、更に環境に負荷をかけないエコな開発が模索されています。

片や、家畜からの皮も持続可能ではないとして、ヨーロッパを中心にパイナップルやバナナ、マッシュルーム(!)といった植物性由来のレザーの開発も進められています。また「魚類レザー」としては、「近大マグロ」の皮も株式会社コードバンとの連携で、“なめし”を施されて革製品に変貌しているという試みも。

本来の意味で“完全に土に還る”という発想が、これからの時代は不可欠と言えそうです。

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2.ローカル発の“わざわざ店舗”

首都圏も、渋谷エリアを除いては新しい商業施設オープンも、一時に比べて落ち着いてきています。そんな中、今後は地方発“わざわざ店舗”が注目を集めそうです。

古い雑居ビル、人通りの少ない裏通り、車でやっと行ける郊外、ファッションとは縁遠いイメージの下町などなど…。おしゃれな街中ではなく「こんなところに?!」というギャップが、来る人の興味をかき立てます。地価も安めなのでゆったりと贅沢な売り場づくりができ、接客の時間もゆっくり取れます。

(「筑後ビレッジ」筑後市)

例えば、鈴木ディレクターのお膝元・北千住。いまや昔の下町イメージではなく、積極的な大学誘致と都心からの利便性が再認識され、“若者に人気の街”に変わっています。安い飲み屋街の雰囲気だけでなく、好感度なセレクトショップなどが多数出店するようになりました。

言わずもがな駅ビルのルミネ、駅前立地のマルイは売上と販売効率ともに好調。少し歩いた路面店では、パンケーキが人気の行列店「茶香」、高感度な古着店「髭」(飲み横)、ハイエンドセレクトショップ「アマノジャク」(千住龍田町/旧千寿第六小学校跡地近く)に続き、駅から離れたエリアにもファッション系ショップ、古着店のオープンが相次いでいるとか。
「アマノジャク」さんは「WWD」の取材によると、月1000万円に届きそうな売り上げを達成しているとか。すごいですね。
https://www.wwdjapan.com/articles/721171

編集長川﨑が取材した地方店舗も、香川県善通寺の「バッグショップヤマシタ」、新潟市郊外のSHS鳥屋野内の「DORA」、筑後市の「筑後ビレッジby ビーエフユー」などは、最寄り駅から歩ける距離ではないながらも、客単価・感度それぞれ高く、顧客をつかんでいるところばかりでした。

(「バッグショップヤマシタ」善通寺市)

今ではSNS、特にインスタグラムでファンを広げつつ、オンライン上でのやりとりからweb接客にコネクト。そして、店舗に行けばすでに信頼関係が構築されているため、あっという間に心の距離も縮まる。。。

立地のよしあしではなく、オーナーの個性や発信力などが重要であり、いかに個性的でキャッチーな情報発信をするかが肝要。地価の高い中心部は外資やコモディティ系のチェーン店、片や郊外や裏通りにはこだわりの個店がひっそりと着実に、という流れが本格化しそうです。

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3.売り方の変化。5G、動画配信、AI

今年に入ってから、「5G」と「自動運転」のニュースをよく目にするようになりました。5G(第5世代移動通信システム)は、今までの4Gよりも「通信速度が格段に上がる」「同時接続数が増える」「遅延が少なくなる」の、主に大きく3つの特徴があります。4Gの出現ですら、Youtuberを生んだりオンラインゲームが乱立するなど、出た当初は“生活が変わる”と言われました。

ただ今回の5Gは“世界を変える”と言われまていす。ダウンロードやアップロードの時間が圧倒的に短縮され、2時間の映画が2秒でダウンロード可能とまでも。。すごいスピード。

Soldi より https://www.soldi.jp/articles/about_5g/

またデータ遅延が少なくなれば、例えばオンラインでのやりとりの時差がほとんどなくなり、VR(バーチャルリアリティー)などもリアルなシーンで本格活用がなされます。これを使って、例えばオンラインでのレッスンや会議、遠隔でのロボット操作、そして「自動運転」もこの5G技術で実現可能になってくるとのこと。

こうなると、売場やECなどでも動画配信、VRが当たり前になる時代が来ると言えます。もはや「止まっているECやSNSでは飽きられる」という時代がくるかも。。

渋谷PARCOでは、VRを使ったクリエイティブなコンテンツ鑑賞サービスや、AIスピーカーによる多言語対応など、いち早くIotやAIを使ったサービスを導入していました。売り場でも無視できない存在になってきます。

従前の商業施設開発の考え方に囚われない、新しい消費体験が若い世代やインバウンドの方々に人気。5Gが常識となった次の世界では、こういった今まで全くなかった新しい発想が生まれそうです。

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もちろん2020は、オリンピックイヤーだったり、働き方改革でライフスタイルが変化したり、更にキャッシュレス化が進んだりと、他にもさまざまなトピックスが生まれると予想されますが、それは今月のセミナーにより詳しく解説させていただきます。→こちら

それでは本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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