【編集長レポート】ものづくりとのご縁を結ぶ「大日本市」のおもしろさ

By on 2018年9月26日

こんにちは。編集長の川崎です。

ちょっと日が経ってしまいましたが、先月末に開催された「中川政七商店」が主催する合同展「大日本市」のレポートをお伝えします。

これは「日本各地の工芸メーカーの流通促進と成長」、そして「小売バイヤーへのよりよい商談の場の提供」を目的に、2011年にスタートした展示会なのだとか。今回で2回目の開催となります。

日本全国にはまだまだ知られていない、個性豊かなものづくりに向き合う作り手たちが多数存在します。

他の合同展とはちょっと毛色が違っていて、その名の通り会場はまず「市のような楽しさ」を意識したレイアウトに。そして夕日の美しい、運河に面した天王洲アイルの寺田倉庫ホールが、ますます気分を高揚させます。

また、参加しているそれぞれの作り手の方々は、地域の魅力をわかりやすく発信してくれているまさに“アンバサダー”たち

北から南まで、「工芸で日本をめぐる」というイメージで会場も構成されていました。

さて早速、服飾雑貨系ブランドをご紹介していきます。

*

1.「iT YUCASi」(いとゆかし) 京都市

デザイナーの地野さんは、とてもパワフルな女性です。京都の工場で職人さんたちが、世界の有名メゾンに向けたオリジナルテキスタイルを、汗にまみれて製作しているところを目にしました。

そのときに「この技術を、デザインとアイデアの力で世界にプロモーションする」という思いを抱き、このブランドを立ち上げたそうです。

どこかオリエンタルな雰囲気を持つアイテムは、ほとんどが京都または近郊の県で作られています。バッグは袱紗(ふくさ)からインスパイアされ、ふっくらしたフォルム感は見た目以上にライトウエイト。

バッグのほかにも、ポーチやスカーフ、メガネなどアイテムのバリエーションも増えてきたとのこと。これからも、様々なメーカーさんとのタッグが楽しみです。

2.「TO&FRO(トゥアンドフロ)」石川県かほく市

こちらの「TO&FRO」を手がけるメーカーは、石川県かほく市に本社を持つカジレーネ株式会社。1950年の創業以来、石川県でテキスタイルの開発を続けている専門メーカーです。

特に薄くて軽い「軽量織物」の分野では、世界中のアウトドアブランドや大手アパレルメーカーから定評があるとか。その技術を活かして、「軽量・コンパクト」をコンセプトにしたトラベルギアブランドを立ち上げています。 

小さくたためるバックパックやショルダー、はっ水加工の効いたカサやレインポンチョなども用意。いずれも空気のように軽く、パッカブルになるのが嬉しい機能。

オリジナル生地にはそれぞれ、「ハチドリ」や「コウテイペンギン」といった鳥の名前がついているのもチャーミングです。

3.「builderino(ビルダリーノ)」墨田区

東京都墨田区で、「かんざし飾り」の職人技を活かして作成している、ハンドメイドアクセサリーブランド。「ビルダリーノ」とは“小さな棟梁”という意味だとか。

どことなく生き物のように有機的で、小さくても存在感たっぷり。これは、型を取っているのではなく、小さなパーツを「胡粉」を用いたロウ付け技法で、ひとつひとつの粒どうしを繋ぎ合わせているのだとか。気の遠くなる作業です。

そして、まさにディスプレイにも“小さな棟梁”たちが大活躍。あちこちでアクセサリー作りに指示を出しているようなさまがユニークです。

4.「000(トリプル・オウ)」桐生市

桐生はもともと絹織物の産地。着物や帯などを製作する工場やアトリエなどが数多くあります。創業140年の老舗刺繍メーカーがつくる「000(トリプル・オウ)」は、“糸のアクセサリー”というコンセプトで立ち上がりました。

近くに寄らないと、素材はいったい何なのかよくわからないほど。キラキラした素材感は、コットンパールのようにも見えます。

貴金属のような輝きを持つメタリック糸やシルク糸など、絹織物の産地ならではの素材を活かしています。

当初は、写真のような厚みのある球体パーツは不可能だったのだとか。何度も試作を繰り返し、刺繍メーカーならではの技術とデザインでこのラインナップが誕生したとのことです。

それぞれのアクセサリーは一本の糸からできている、というのも、何か悠久の時間軸を想像します。

5.「バッグワークス」豊岡市

かばんの街・豊岡。「バッグワークス」は業務用バッグのメーカーとして、約60年以上前に設立されました。

企業や職業などで使われる“お仕事バッグ”を、各社の要望に合わせて開発・生産していましたが、2012年からは中川政七商店と組んで「しごとのかばん」をコンセプトに「BAGWORKS」ブランドを立ち上げています。たとえば、牛乳配達員のかばん、郵便配達員のかばん、車掌さんのかばん、お医者さんのかばんなどなど。

今回はフィッシャーマンをテーマに、はっ水加工のカラフルなターポリン素材トートを提案。くるくると巻いて収納できるコンパクトさも魅力。しごとのかばんと言えど、どのアイテムもカラフルなところがこのバッグラインナップの楽しさとも言えます。

*

以上がピックアップブランドのご紹介でした。

日本にはまだまだ知られていない、そして魅力にあふれた作り手さんがたくさんいるんだなーということを、この展示会で実感させていただきました。

みなさんが説明するときの、土地の言葉もあたたかくて。

そして、自分たちの培ってきた技術や紡いできた歴史に、さりげなく自信を持っているということも感じました。小さくてもインタラクティブなコミュニケーションが生まれる展示会が、これからももっと出てきて欲しいですね。

*

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)