【B.A.G.NUMBER LENS】価値観と存在感が変わる夏、想い出に負けないバッグとは?

By on 2018年8月15日

ディレクター 鈴木です。
歴史的な酷暑が続く夏。いつもなら寒いと思う商業施設の冷房がありがたいです。電車の混雑も少し緩和されたり、駅構内に設置されているフリーペーパーにも余裕があったり・・・とお盆休みの時季なんだな、と改めて感じます。

 

 

フリーぺーパー「メトロポリターナ トーキョー」ファッション・ディレクター 軍地彩弓さんの連載《東京#CODE》、最新号のテーマは〈 週末#ちょい旅 女子のルールブック 〉でした。働き方改革の影響で会社でも3連休がとりやすくなり、女子の間で「#ちょい旅」がはやっているそう。

 

「1泊2日なら国内だけど、2泊なら海外だって行けちゃう。女友だちを誘って気兼ねなくさらっと旅しちゃう」

なるほど。

「バッグ一個買うより想い出。インスタに素敵な旅日記を投稿できるし、とにかくいいことだらけ」

!? 
バッグが想い出づくりに負けている・・・。

 

 

 

ここ数年、バッグの大きな流れはカジュアル化&ミニサイズ化。男女ともにサコッシュやウエストバッグがヒットし、財布、スマートフォンを収納するツールとして人気。ウォレットポーチ、ネックウォレットなどバリエーションも広がっています。

 

(写真:ヤマニ 2018-19秋冬展示会会場にて。同社デザイナー 原さん、そのほかのスタッフの皆さんがウエストバッグを身につけてプレゼンテーション)

 

ブランドロゴが前面に出ているデザインも多く、かつてのITバッグ的な存在に。比較的手軽に買うことができるプライスなので、ビジネスパーソンの「ご褒美リスト」から脱落してしまったのでしょうか?

 

 

 

アラサー世代の働く女性に向けた雑誌「オッジ」8月号では、〈 〝スマホひとつ〟で夏休み! 〉という特集がありました。

 

 

キャッチ―なスマホケースとミニバッグを120個紹介。スマホケースをシーン別に提案し、ゆかたとの着合わせには帯飾り替わりの派手柄、ビアガーデンではストレスフリーなチェーン&ストラップつき・・・と、スマホケースのコーディネートが新鮮!

〈 休日限定ならOK!「スマホサイズ」のジェニック・ミニバッグ 〉では「ヴィヴィッドな色」「デコラなデザイン」「ファニーなフォルム」と、パンチのあるデザインがそろって楽しい。

トレンドではなく、オケージョンを重視する、いまの女性の気分に寄り添っています。

 

 

 

 

そんなデザインコンシャスな流れは、「アート感覚」としてとらえるかたが増えているかもしれないと感じ、以前のエントリ「アート感覚を付加価値として打ち出す ジャパンレザーの新傾向【まとめ】」でまとめていました。

 

 

トレンドの役割が弱くなっているなか、「ノームコア」の影響が依然残り、パーソナルな個性・着こなしへの不寛容さがあるのも事実。ファッション性よりも、「アート」、「デザイン」的な要素を打ち出すことで、ユーザーが選びやすくなっているのでは?

 

(写真:藤和商会 2018年19年秋冬展示会)

 

 

例えば、<藤和商会>のアフォータブルラグジュアリーブランド<am(アム)>は、デザイン性はもちろん、コンセプトワーク、イメージビジュアルにも注力し、「いま、マーケットにないバッグ」とバイヤーに好評。5月に行われた展示会では、某大手バッグ小売店のトップが来場し高く評価したことが業界内に伝わり、話題になっています。

 

(画像:藤和商会 公式サイトより)

 

 

今シーズン、独自の加工により、立体感、特長のあるレザーを使用したバッグ、革小物を発表。チェーンストラップつきのミニウォレットなど、新作を多数リリースしました。

 

 

(画像:藤和商会 2018年19年秋冬展示会DM)

 

 

「2018年秋冬のテーマは、[引力]です。
人を引き寄せ、映えること/
人が語らずとも、モノがその人を語り引き寄せる、
引力/
バッグは持つ人/
[私、そのモノ]だから。
革の魅力を引き出し、それぞれの魅力を

際立たせるコンビネーション、
DC時代を彷彿させる強烈かつエレガント・・・
これからの時代をつくる

ジェントルウーマンに使ってほしいですね」と

同社ディレクター 細江典子さん。

 

「ハイブランドを記号的に消費するのではなく、デザインで自分を表現したい」というニーズは、ハッシュタグで不特定多数のユーザーとつながることができ、共感を得られるSNS時代だからこそ。「あえて持ちたい」と思える「存在感」が注目を集めているようです。

 

「シンプルなデザインの上質なアイテムを長く愛着する」という底堅いニーズがある一方、フリマアプリの普及、個人間売買の浸透もあり「短期所有」「長期使用」の使い分けが進行。シンプル&ベーシックがひと段落し、個性的なデザインを重視する傾向もじわじわと。

「ハレ」のシーンを彩る「特別感」は、想い出に変換される「価値のある要素」となりそう。うれしい新潮流です。今後、バッグ、小物のジャンルで「楽しさ」が復活しますように。

 

 

前述の「オッジ」8月号〈 〝スマホひとつ〟で夏休み! 〉特集では〈 ワンピとスカートの新常識は「ポケットあり」! 〉という切り口で「バッグレスでお出かけしたい日にお役立ちなアイテム。立ち姿もスマートに見せてくれる」という企画も。

手ぶらというと男性的なイメージですが、女性にも「バッグレス」に支持が広がる可能性がありますね。キャッシュレス&ハンズフリー時代、「決済できるカード、スマートフォンをどう持ち歩くか?」が焦点に。

<meanswhile(ミーンズワイル)>の「着るバッグ」をはじめ、フィッシングベスト、ハンティングジャケットなど、ポケットが多く収納力のあるアウターの存在も見逃せません。

 

バッグの存在意義が問われているいま、「楽しさ」や「特別感」によって、「持ちたくなる」「使いたくなる」感覚が不可欠。バッグ、財布、スマートフォンケースの中間領域では、新しい使い方、イノベーティブなアイディアでワクワクする新製品も増えています。また別の機会にご紹介させてください。

About 鈴木 清之

オンラインライター、ブロガー。「装苑ONLINE」、スタイルストア「つくり手ブログ」<徒蔵(カチクラ)ガイドブック>ほか、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA/皮産連)オフィシャルブログおよび関連事業のSNSアカウント<中の人>業務、コンテンツ運用を担当。 紙媒体ではムック「日本の革」(エイ出版社)の取材・ライティングを担当した。 弊誌では担当分のニュースを「B.A.G.NUMBER LENS」として発信。日本国内のバッグブランドを中心に財布、革小物からライフタイルグッズまで幅広く「レザー」「エシカル」「ナチュラル」「サスティナブル」に関するトピックを紹介している。 東京・北千住で生まれ、リーガルコーポレーション(現在は浦安に移転)や大峡製鞄をはじめとした ものづくりのメーカー、ファクトリーが身近にある環境で育つ。精肉店の三代目として家業を継ぐべく竹岸食肉専門学校を卒業。ファッションへの夢を断ち切れず、文化服装学院に入学、同校ファッション情報科を卒業。

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