【編集長レポート】宮崎の個性派バッグ専門店「創作屋(延岡市)」。自分らしさの“創作”とは… Part3

By on 2018年7月9日

こんにちは。編集長の川崎です。

このたびの豪雨で被害を受けられた皆様に 心からお見舞いを申し上げます。

私も先週は木曜・金曜と関西に出張していましたので、ちょうどタイミング的に重なっておりました。まさかこんな被害が広がってしまうとは思いもよらず…本当に衝撃です。1日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

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さて、延岡市の「創作屋」さんのシリーズ、第3回目をお届けいたします。2回目はこちら

甲斐さんの接客哲学は独特で、ものづくりを知っている方だからこそのユニークな視点がありました。

バッグの「ゴールデンバランス」にこだわる

甲斐さんのお話がつづきます。

「延岡には都心部ほど、ファッションのお店が数多くある訳ではありません。

なのでお客様にとっては、お気に入りのバッグをそう簡単に捨てたりはできないものなのです。

父親の代から『お客様に販売したものは、出来る限り修理をするものだ』との教えがあって、私自身もあまり難しいものでなければ、修理やリメイクはひと通り手掛けています。」とのこと。

甲斐さんご自身も職人気質で、バッグの作りなど気になると一度ほどいてバラバラにして、作りを調べるなど徹底しています。

「私がバッグを見る時は、モノを入れて重力がかかった時に、“物理的にどう変化するのか”に注目します。

商品を分解し、経年変化後の状態を見ることが多いので、デザインの範疇としてクタっとするのか、又は型崩れするのか否かどうか。

『ゴールデンバランス』のデザインなのかは、最初にパッと見ればだいたいわかります。」とのこと。

お客様にとって、購入した時と使った後の状態があまりに違うことは、時として“損した”と感じることにも繋がってしまうとか。

「なので展示会では集中しているので、あまり口を利かない怖い人だと思われているかも。」と笑う甲斐さん。

使い込んだ後の姿をイメージして、展示会で発注しているバイヤーというのは、あまり聞いたことがないような気がします。

でもそれだけ、モノとの向き合い方が真剣勝負。作っている側としては、甲斐さんからのコメントが超気になるところですね。

そしてあえて、「靴や洋服などへとセレクトを広げることは?」とも尋ねてみました。・・・が、「モノが修理できるかどうかが重要なのであえて中心軸はバッグから離れない」、とのこと。

うーむ、仰る通り。納得できますね。

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「教師」を目指していたからこそ

実は甲斐さんは若い頃、バッグ業界ではなく学校の先生を目指していました。

刺さるトークを紡ぎ出すことや、相手に合わせたボキャブラリーを選ぶことができるのも、そんな経歴からも来ていることに激しく納得できました。

教えることは得意なので、今は月一で着付け教室をしたり、随時レザーワークショップも開催しています。

はじめは自分が本当に好きではないジャンルの仕事だったからこそ、店舗も業界も客観的に見ることができ、お客様から教えて頂くことも多かったですね。

ひとつも無駄なことはないなーと、今更ながら実感しています。」と笑う。

紆余曲折を経て、教員志望からかばんの道へと進まれた甲斐さんですが、いまは培ったこと全てが、仕事に生きていると話されました。

ひとりの人生の先輩として、しなやかな生き方に憧れてしまいますね。

甲斐さんが、お父上から長年聞かされてきたという言葉。

「バッグはスタイリングの上品さを決める、最後の要である」

この教えを携え、今日も背筋を凛と伸ばして店頭に立たれていることでしょう。

それがまさしく、甲斐さんにとっての「自分らしさを創作するとは何か」に繋がっているのだと感じました。

甲斐さん、濃いインタビューのお時間ありがとうございました。

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フットウエアプレス 5月号より大幅加筆リライトしました

About 川崎智枝

靴・バッグ業界の経営コンサルティング会社にて、23年間MDアドバイスや店舗の活性化、店長・スタッフセミナー等を実施。2014年4月よりフリーとして活動。 コンサルタントとしてメーカーや小売店に対し、「何を売るか」「どう売るか」までを幅広く指導。また研修コーチ、ファシリテーターとして人材育成ワークショップなどを開催。 日本皮革産業連合会主催の皮革研修では、三越伊勢丹、大丸松坂屋などの百貨店を中心にファシリテーターとして研修を実施。 生涯学習開発財団 認定コーチ、日本ファシリテーション協会会員。 業界誌「フットウエア・ プレス」、「インテリア・ビジネスニュース」にライターとして執筆中。 著書「靴・バッグ 知識と売り場作り」(繊研新聞社)など。Bag Number編集長。

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